投資のノウハウ

太陽光発電関連銘柄のバブル崩壊の「教訓」とは?

太陽光発電は、自然エネルギーを利用したクリーンな発電方式の一つです。国内の太陽光発電買い取り価格の下落や発電効率の問題、原油安など、普及にはさまざまな課題はありますが、中長期的には今後も太陽光発電は伸びていくことが考えられるでしょう。しかし、株式市場では数年前にすでに「太陽光発電バブル崩壊」と呼べるような事態が起き、欧州危機の引き金になったことは記憶に新しいことです。誰もが希望を持てて、期待をかけるような事業でも放置はタブーであり、メンテナンスが重要だということをここから学びましょう。

株価上昇している時こそ冷静な投資を

地球温暖化などの問題もあり環境への関心が高まり出した2000年代後半、欧米各国は太陽光発電など再生可能エネルギーの普及を目的に、太陽光発電などによる電力の固定価格買い取り制度を次々に強化。こうした流れに乗って、太陽光パネルや太陽電池用の部品の需要が大きく拡大し、太陽光発電関連銘柄の株価も上昇していきました。

たとえば、太陽電池用の半導体部品を手がけるフェローテック(6890)は、750円前後から2200円を超えるところまで株価が上昇しました。しかし、太陽光発電の普及に伴い、国内のみならず中国などでも太陽光パネルや太陽電池関連の事業に参入する企業が増え、太陽光パネルや太陽電池は徐々に供給過剰の状態へ。さらに、2009~2010年にギリシャ問題を契機とした欧州の金融危機が起こり、景気が低迷するとスペインなどヨーロッパ各国ではこれまでとは逆に電力の固定価格買い取り制度を縮小し始めました。国も企業も希望を持って取り組んできた前提が大きく崩れ、投資家にも大きな影響を与えました。

供給過剰による太陽光発電システムの値崩れと景気低迷による公的助成制度の縮小、この2つにより太陽光発電関連銘柄の株価は大きく下落し始め、バブルが弾けてしまったのです。前述のフェローテックの株価も、2012年には300円を切るところまで下落してしまいました。高値2200円からみると大暴落です。

こちらのコラム(実体なく値上がりする「バブル株(仕手株)」に惑わされてはいけない))では、実体の裏付けがないバブル株には手を出してはいけない、という話をしました。太陽光発電の場合は、実体はきちんとありました。ただ、時を経るにつれて、供給過剰や政策の変更といった状況の変化が起きていたにも関わらず株価が上がっていった結果、実体以上に株価が上がってしまったことが問題でした。しかも、その渦中にいるときにはなかなかバブルには気づけないものです。大きく株価が下がり始めてから、ようやく「あそこまで上がったのはバブルだった」とわかることが多いのです。

この太陽光発電関連銘柄のバブル崩壊から言えることは、たとえ長期的には有望な事業で、国内のみならず世界にとって有益であっても、状況が変われば株式投資の対象としては適さなくなる、ということです。特に注意しなければいけないことは皆がよいと思う事業や投資には落とし穴があるということです。1カ月ごとの定期点検のところにも書きましたが、国内外の経済政策の変化や経済指標の数値などは必ず確認して、大きな流れが変わってきたときには早めに動けるようにしておきましょう。

実例にみる、バブル株の取引

前出のフェローテックは、私が運営する投資顧問サービスでも推奨していました。ここでは、その取引を振り返ってみたいと思います。

すでに説明したとおり、フェローテックは太陽光発電関連銘柄として注目されていました。原発への不信感が大きくなった2011年の震災ショック後、クリーンエネルギーへの注目度が上がると判断し、同年3月23日に買い推奨をしました。買い推奨した株価は1615円です。しかし、その後は「ギリシャ問題」の再燃に端を発した欧州のエネルギー政策の変化で、予想とは異なる展開となり5カ月後に売却の判断をしました。

■売り推奨をした日

2011 年8月8日

■売り推奨株価

1511 円(8月8日の高値は1580円、安値は1500円)

■売り推奨をした理由

●将来懸念の大きい悪材料勃発

太陽光発電業界に最も影響のあったドイツやスペインなどで、ソブリン問題が発生。国にとって負担の大きい太陽光発電ビジネスへの支援体制にも影響を及ぼし、大きく流れが変わった。また、欧州だけでなく中国でも太陽光パネルの過当競争から値崩れが起こり、パネルメーカーの破綻懸念も発生。

■その後の展開

売り推奨をした翌月の2011年9月には1000円を割れました。その後も下げ続け1年も経たない2012年6月には300円台まで下げてしまいました。

■まとめ

このように大きな悪材料が出てくるケースは、株式投資をする以上は完全には避けられません。この取引で確定した損失は20万円でしたが、放置すれば数百万円にも及んだため、損切りが不可欠でした。率にするとわずか6%台の損に止めることが出来ました。

6%程度であれば1回転で取りかえしが効く範囲です。また、このような売却がなければ資金が滞るだけでなく、新たな銘柄を買う資金も減るため、次の銘柄の買いにもつながっていきません。だから、「売却」はとても大切なのです。

本連載は、自著『資金30万円を巨額資産に大化けさせる 銘柄「乗り換え」株式投資法』(幻冬舎)から一部を抜粋したものです。本コラムは実際の投資の成功を保証するものではありません。本コラムを用いた運用は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本コラムの内容に関して運用した結果については、ライジングブル投資顧問株式会社はいかなる責任も負いかねます。なお、本コラムに記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時(2016年2月)のものであり、変更されていることがあります。
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プロフィール

藤村

ライジングブル投資顧問株式会社

代表取締役社長 藤村 哲也

【経歴】

1965年生まれ。横浜市立大学経営学科卒業。1990年太平洋証券(現・三菱UFJモルガンスタンレー証券)入社、証券営業を経て1996年より投資情報部で証券アナリストとして勤務。合併により2000年よりUFJつばさ証券(現・三菱UFJモルガンスタンレー証券)に勤務し、最終役職はUFJつばさ証券部長代理。独立後、2003年6月にライジングブル投資顧問株式会社を設立。中国株、日本株情報サイトを運営し、会員向けに株による財産形成を総合的にサポートしている。Yahoo! ファイナンス 投資の達人、All About株式ガイド。

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